2008年12月03日    子どもの行動原理は、快か不快か

10回シリーズでたっぷりお伝えしている、天野さんの講演の内容
第6回目は、「子どもの行動原理は、快か不快か」です。

 子どもの遊びの三大形容詞は、あぶない、きたない、うるさいといっています。この3つが、今の大人も嫌うことなんです。あぶないからやめなさい、きたないからやめなさい、うるさいから静かにしなさい。で、それが、ちゃんとできないとしつけがなっていないとなる。今、都市化になって、人の目が届かないところがどんどん減ってきているし、大人の目が届かないところはつくってはならないようにみられているから、だから、昔と全然違う。

 昔は、大人の目をかすめようとすればでき、社会の中にすきまがいっぱいあり、そのすきまの中で遊んでいたが、今、大人が徹底的に埋め尽くそうとしている。で、それが、大人勝手な言い分でやられたら、子どもが子どもとしていることができなくなっている。同然、子ども時代が死にます。ミニチュアな大人ばっかり出来ます。楽しいと思えることがやってはいけないことなる。

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 子どもは、善悪で行動するのではく、
  おもいろいかおもしろくないかで行動するのだ。

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 僕は、子どもの行動原理は、善悪ではないと考えています。特に遊びの場では、子どもの行動原理は、快か不快か、おもしろいかおもしろくないか。で、このことが、子どもの活力をものすごく高めている。おもしろい、だからもっとやりたい。もっともっとその中で、知恵が出てくる。もっともっと面白くするために、どうすればいいかを考える。

 で人間関係になると、違うもん同士が遊ぶとなると、結構うざい事も多くあるわけですね。でも、いっしょにやるから面白いという思いが、そういうめんどくさい人間関係をこえる力になる。ひとりでやるよりかいっしょにやるから面白い。異質なものとつきあう活力になるわけです。1+1=3にも4にも5にもならないと面白くない。1+1=2では、ダメなんです。1+1=3,4,5になるから、盛り上がり楽しくなる。でも、大人は、どちらからというとじゃますることの方が多い。

 例えば、砂場でシャベルの取りあいが始まる。あれば子どもの出会い方なんです。でも、やっぱり大人は引きはなすんですね。あれは、ほっとけば、一時間後、いっしょに遊んでいるかもしれない。噛み付いたりしたりして、2,3才は言葉は通じないもんだから、動物的にかむ。あの噛むというのは、カムニケーションというか、大事なんです。子どもだから、かんでかまれても、それでも、大人が大騒ぎしなければ、かまれた子に痛かったね、とよしよしと優しく抱いていたりすると気持ちが治まって、そのうちさっきかんだ子を遊びだす。

 こどもの持っているコミュニケーション能力は、恐ろしく柔軟です。大人は、かまれたら、二度と付き合わないが、子どもはそうではない。大人には、なくなってしまったのもを子どもには、たくさんもっている。その子どもたちが過ごせる時代が子ども時代なんです。

 それを大人が決めたルールに閉じ込めるとなると意味が全然変わってしまう。子どもには、子ども時代が必要なんです。そうしないと大人にはなれない。身体はほっといても大人になるが、遊びというのは、非常に単純。やってみたいと思うことが単純。やってみたいという思いは、内側からわいてくるものなんです。だから、人が遊ばせるということは不可能なんです。そういう意味でも指導者にはなれない。どんなに面白いよといっても、その子がやってみたいと思わなければ、遊びではない。逆に、その子がやってみたいことが、何なんだとわかんなくてもある。それでも、遊びなんですよ。

 ということは、遊びの主役は自分である。自分しかいない、というのがわかりますよね。自分がやってみたいと思わない限り、本当の遊びにはならない。その子が遊ぶというのは、その子以外が遊ぶということはありえない。大事なのは、ここです。その子が主役であるということが、そのことが、自分が生きているという感覚を育むことになるのです
 
 ところが、大人が決めたことをやらせるといったときには、誰が主役か。決めているのは大人でしょ。子どもはそれに従うが・・・大人は子どもの関係の中で、常に主役でいたい。自分が主役の座でありたい。子どもに影響力を与えたい。でも、それは、子どもが自分が主役であるということを子どもから奪っていることになるんです。

 大人の目をかすめて、隙間の中で遊べていたらまだいいんですが、今、それが許されなくなってきた。ちょっとした犯罪がおこると、公園にいかなくなる。家の中で遊んだほうが、ゲームばっかり遊んだほうが、安心出来る。外で何してるかわかんないよりもいい。これでいいのでしょうか。

 つづく。次は、「外遊びで、子どもの体力が育つ」です。


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Posted by 八日市に冒険遊び場を作る会 at 22:47 │Comments( 0 ) 遊育講演会 報告
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